今回は私が転職した外資系メーカー(日本支部)の勤務形態を中心に帰宅・勤務事情を紹介したいと思います。
外資系と聞くと定時に帰れる楽々ホワイト企業、あるいは停滞=解雇に直結するハードワーク企業など様々なイメージを持っている方がいるかと思います。
まず、大前提として、外資系といっても業種や企業文化によって労働環境は大きく異なります。
私が今回紹介する企業文化や勤務形態はあくまで一例であることをご承知おきください。
この記事で想定する読者
- 外資系企業で働きたいと考えている方
- 外資系企業の帰宅事情を知りたい方
- 外資系企業の労働環境について知りたい方
外資系企業の帰宅環境例
1.コアレスフレックス勤務ができる
コアレスフレックスとは、簡単に言ってしまうとコアタイム(絶対に働いていなければならない時間帯)が存在しない労働形態のことを指します。
私の勤める会社では勤務に関する規則はざっくりレベルで下記のようなルールが存在します。
このルールを逸脱しない範囲において働き方は個々の従業員が自由に決めてよいという方針になっています。(ミーティングなどのスケジュール調整は必要です。)
<主なルール>
- 1日の労働時間(=所定労働時間)は8時間とすること
- 休憩は1時間取得すること
- 残業については月末時点で合計時間を計算する。
- 1月あたりの残業時間は40時間を上限とする。(上長の許可があれば60時間まで可能)
- 深夜22:00以降の残業をする場合は予め上長からの許可をもらうこと
- 組合員の年間時間外労働時間は360時間以内とすること
- 直近3か月間の残業時間が120時間以内であること
- 会社の休日設定日(土日)は原則として業務禁止
どういうことかというと、原則8時間労働していれば業務を遅く始めてもいいし、早く終わってもよいということです。
また、コアタイムがないので、中抜けや昼休みを1時間以上取ることも可能です。
そのため、従業員の中には午後から出勤して22:00まで働くという人もいれば、お昼休みを2時間取って昼食とジムに行ってから業務を再開するという人もいたりします。
また、残業時間の計算は月末に実施するので、ある日休暇を取った場合でも月末までに残業を8時間以上していれば、有給休暇を消化する代わりに残業時間で補填することが可能です。
以下にコアタイムがあるフレックス勤務とコアレスフレックス勤務の違いを比較してみてみましょう。
まず、前職を例にコアタイムのある勤務形態を示すと下図のようになります。

上記の例ではフレックス勤務をしない場合は8:45から17:15が定時時間となっており、17:15以降の作業は残業時間扱いとなっています。

これに対し、上図でフレックス勤務ができる場合(左図)とできない場合(右図)を示しました。
上図左側のように、コアタイムが包含されていれば業務の開始時間や終了時間を自由にずらすことは可能です。
一方、上図右側のように、業務の開始時間や終了時間にコアタイムが包含されていない場合は許可が下りません。
では次にコアレスフレックス勤務の例を見てみましょう。

上図では所定労働時間8時間として9:30-18:30(お昼休憩1時間を除く)が記載されていますが、8時間働いてさえいれば下記のようにいつ業務を始めて、いつ終了してもよいです。

上図のように途中で業務を中断してもOKなので、役所や銀行に行く用事がある際には非常に便利です。

上記のように8時間未満の勤務も可能です。
但し、勤怠計算は1月ごとに行うので、不足分は同じ月の別日に定時時間内の勤務扱いで労働する必要があります。
2. 残業していると上司からフォローが入る
いやぁ、これは転職して驚いたことの一つなんですが、残業していると上司から早く帰るようにフォローが入るんですよね…。
Kitaku-san,
Go home!
It’s time to leave.
Ah, Sure. Within 5 min.
(マジか…まだ夜20時だけど帰宅フォロー入るのか…うれしい…)
何ならお説教も入ります。
Kitaku-san!
イマ、ナニシテマスカ?
今日、残業スルッテ聞いてないヨ!
カエッテくださいネ!
オウフ…。すぐ帰ります!!!
(怒ったウサさんも可愛いが…困らせるのもよくないから帰ろう…)
家族がイチバンネ!
この一連のやり取りは私が現職で働いていて実際にあった会話のやり取りです。
自分のことを棚に上げてフォローしてきますが、めっちゃありがたいですね。
でもリソース不足の報告をしているのだからリソースプランニングしてください( ´゚д゚`)
3. 忘年会の費用は会社負担
Yahhh!!
Enjoyシテマスカ?
キョウハ会社が経費出すので、Fee Freeネ!
(↑毎年大体こんな感じで忘年会の時、Mgr陣はテンション高いです 笑)
これは私が今の会社に来て最も驚いた点でした。私の企業では毎年、部署ごとに忘年会があるのですが、忘年会は会社の予算で実施されます。
つまり、従業員は無料でアクティビティや飲み会に参加できます。
直近の忘年会ではお昼2時くらいに業務を終了し、近くのRound1でボーリング大会をした後、飲み屋で忘年会をするというコースでした。(なお、忘年会の2次会はマネージャーの奢りでした。)
従業員は参加費がかからないので参加率がかなり高かったですね 笑
その他、プロジェクトの節目や新しい人の加入、離職や異動時にも適宜プロジェクト単位で飲み会が開催されますが、マネージャーが奢ってくれることが多いです。(いつもじゃないです。)
これはマネージャー次第なので、どのプロジェクトにおいても一概に当てはまることではないと考えています。
4. 作業が終わらない場合他の海外支部に作業支援を要請できる
急ぎの案件が終わらない場合、他の国の支部に支援要請をすることができます。
これによって日系企業と比較した場合、作業リソースを確保しやすく、ワークライフバランスを保ったまま素早く業務遂行をすることが可能となります。
例えば、製品の不具合に関するトラブルシュートをするときには、素早く原因を調査し、対策を施すことが求められます。
日系企業であれば、夜遅くまで残業したり、土日・祝日出勤で残業対応することが多いと思います。
一方、私が所属している企業のようなところは世界中に拠点があり、優秀なエンジニアが在籍しています。
そのため、日本から他拠点に支援要請をすることで、時差を利用して常に日本が夜間や祝日の間でも他の拠点で継続して作業対応をすることができます。
これによって、日系企業よりもワークライフバランスが維持しやすく、かつ円滑にトラブルシュートを遂行することが可能となります。
こういった点はグローバル企業ならではの強みなのかなと私は感じています。
5. 語学学習やTOEIC等の一部の資格試験サービスを会社負担にできる
やはり外資系というだけあり、英語を必要とする機会は日系企業よりは多いです。そのため、従業員が語学学習をしやすくするように会社がサポートしてくれています。
従業員も定時後はこうした語学学習をやっている方は結構いらっしゃいます。
私のいる会社の場合、英会話などの外国語会話講座は会社が一部負担してくれます。また、TOEICについては団体受験が年1回無料となります。
その他、社内の研修講座や同僚による独自の語学学習講座が開催されていたりします。
6. リモートワークは世界の裏側でもOK
当社のリモートワークに関するルールは

それだけです。
なので、リモートワークは家でやってもいいですし、ホテルでやってもいいですし、何なら世界の裏側でやってもいいわけです。
但し、時差の問題があるので国外からリモートワークをする場合は事前に上長と相談しておく必要はあります。
うちの従業員も色々な国から日本に来ているので、上記のような事例はけっこう聞きます。
直近ではインド出身の同僚が実家に帰る用事がるようで、GWに休暇を取ってから、追加で1週間実家(ベンガル―ル)に滞在してリモートワークをしてから帰るという連絡がありました。
7. 部署異動は世界中の拠点に対して異動希望を出せる
私の勤務する企業では社内異動が活発に行われています。ここでいう社内異動というのは日本支部の中にある部署だけではなく、世界中の拠点を指しています。
社内には従業員のみがアクセスできる求人票があり、各拠点の所属上長が求めるスキルや人物像、期待する責任の範囲等が記載されています。
社内異動に関するルールは下記のとおりです。
- 従業員は社内の求人票を見ていつでも応募可能(応募時に所属上長に知らせる必要はない。)
- 受け入れ先の上長と面談の結果、受け入れ許可が下りれば異動が可能
- 現在所属している上長は従業員の部署異動を引き留めてはいけない
- 新しく部署移動した後、2年間は異動できない
これは会社として優秀な人材を社内にとどめておく施策の一環になっています。他社に転職されるよりは社内の他の部署で引き続き成果を出せるようにという配慮です。
また、現状の所属しているチーム、プロジェクトあるいは顧客担当に不満がる場合、プロジェクトマネージャやラインマネージャはメンバーが円滑に業務を遂行できるよう最大限の努力をすることが求められます。(じゃないと優秀な人材が他の部署にとられてしまいますからね。)
つまり、この人事異動ルールは潜在的に社内のプロジェクトや部署ごとで優秀な人材を獲得する競争を生み出しているわけです。
その結果として、従業員、マネージャー陣が一丸となって効率的に業務を遂行できるよう、また、人間関係が悪くならないようあらゆる側面において工夫することが求められます。
私がこの会社で仕事がしやすいと感じているのはこうした工夫や円滑な人間関係を保てるよう社員一人一人が気を使っているところにあるのかなと感じています。
帰宅事情に不満がある方もこうした制度で定時帰宅の実現ができてしまうわけです。
ここがきつい!外資系企業のbad point
これまで、私の所属する企業を例としてグローバル企業のgood pointを紹介してきました。
ここでは、global企業ならではのBad pointをいくつか紹介したいと思います。
1.会議の設定が深夜になりがち
残念ながら、世界各国に拠点があるので、会議を開催する際にはそれぞれのメンバーの所属する国との時差を考慮する必要があります。
日本目線では特に米国や欧州と会議を設定する際には日本時間では深夜に会議を設定することが多くなりがちです。
緊急度の高いものについては23:00からでも会議に出る必要もあるので、これはしんどいと感じるときはあります。
大体こういった場合には終日リモートワークか早帰りをして夜間だけリモートワークをするという例が多いです。
2. 各国の長期休暇や祝日の日がわかりづらい
グローバル企業で働いているといろんな国の人とやり取りします。
つまり、各国の帰宅事情も様々というわけです。
例えば私が今関わっているプロジェクトでは下記の国の方々とやり取りすることが多いです。

上記の各国の時差は日本時間(JST)を基準とし、通常期の時差で表記しています。
サマータイム時(10月~翌年の4月)には時差がずれるので注意が必要です。
また、休日休暇のことも気にする必要があります。
休暇の取り方や働き方、祝日の日は国によっても様々なので事前に情報を共有していないと急ぎの案件でサポートをお願いしたいのに祝日でいないという状況も起きます。
また、ドイツの人は朝6時くらいから働いて現地時間の午後3時には帰る人もいるので、担当者がどのような働き方をする人なのかも注意を払う必要があります。
3. 最低限の語学力は必要
ここでいう語学力というのは英語と現地の母語(今回の場合は日本語)だと捉えていただいて構いません。
求められる言語のレベルをまとめると下表のようになります。
| 言語 | 求められるレベル |
| 英語 | 日常会話レベル |
| 日本語 | ネイティブレベル |
各国の拠点で働く人と協力する以上、残念ながら最低限の英語力は必要となります。
よく就活生からどのくらいの英語力を求められるのかと質問されますが、これはなかなか答えるのが難しいですね。
なぜなら、応募先のポジションによって求められる能力が異なるからです。
一般的に英語圏に本社があるような企業はそれなりに英語力は求められるかもしれませんが、前述の企業に該当しない外資系の場合は日常生活で使う程度の英語力があればまずは何とかなることが多いです。
また、大切なのはTOEIC等のお勉強で使う英語のinput/outputよりも英語を母国語としていない国の人が話す(訛りのある)英語に触れてinput/outputをすると対応力が上がります。
そもそも論ですが、外資系企業(特に私が勤めている会社)が最も重視する能力は
“日本語を適切に使えること“
です。私が勤める外資系企業のJapan Officeの使命は本社で開発した新製品をカスタマイズして日本のお客さんに買ってもらうことです。
そして残念なことに日本人のお客さんはあまり英語が得意ではないまたは使いたがらないです。
そのため、日本語がネイティブレベルでできる人でないと英語ができないこと以上に業務に支障をきたしまいます。社内には英語ができる人はいくらでもいますが、日本語ができる人はなかなかいないのが実情です。
そういうわけで、実は私の勤めている企業に応募される方は日本語ができるだけで大きなアドバンテージを持っていると言えるわけです。
この記事を読んでいる読者さんがもし、外資系企業で働くことに興味を持っているのであればぜひチャレンジしてほしいと思います。
さいごに
今回は私が勤めている外資系企業の働き方と帰宅事情について紹介いたしました。
私も入社前と入社後とでは今務めている外資系企業の色々なところにギャップを感じました。いい意味でも悪い意味でも色々なことを経験しましたが、私は結果として転職してよかったと思います。
自分とは全く異なる価値観や考え方を持っている人と一緒に働くと自分の価値観を見直すきっかけにもなりますし、自分が考えもしなかったミラクルな解決策を同僚が提示すると魂が震えますね!!
仕事をしているとなかなか自分の言いたいことが相手に伝わらないという経験をすることが多いですが、そもそも価値観が違うので私はサッと割り切れてしまいます。
反対に日本人と会話をすると同じ日本語を使っているのにうまく伝わらないとイライラしてしまいますね 笑。
人生は一度きりですし、自身がやりたいと思ったことをぜひチャレンジしてみてほしいと思います。
チャレンジしてみて結果的に合わないなと感じれば日系企業に戻っていくのもアリだと私は思います。
